ニュース&コラム

「緩和ケア」とは何か苦痛を和らげ病気と闘う力を養う

2016年04月01日
「緩和ケア」とは何か

闘病生活を乗り切るためには、「痛み」を乗り切ることも必要になってくる

「緩和ケア」とは

緩和ケアとは、
病気のもたらす「痛み」や「苦しみ」を軽減させることを目的とした治療アプローチ
のことを指します。

がんなどの重大な疾患では、肉体的、心理的な苦痛をはじめ、様々な「痛み」が患者とその家族を襲います。そして様々な「痛み」は患者の体力と精神力を衰えさせ、治療に取り組む力を損なわせてしまいます。
緩和ケアとは、それらの「痛み」「苦しみ」に様々な方法で対処し、

・治療に立ち向かう力を回復させる
・患者のQOL(生活の質)を改善させる

などの結果をもたらすことを目的とする治療アプローチのことです。

 

緩和ケアにまつわる誤解

 一般に、緩和ケアには
「終末期に受ける治療」
「麻酔で身体の痛みをまぎらわす治療」 
などのイメージがあります。
しかし、これらは誤りです。


現在の医学では、緩和ケアは治療の早期から行うことが推奨されています。なぜなら疾患と戦う体力と精神力を養うためには、緩和ケアによって体力・精神力を養うことが重要だからです。
 
例えばがん治療などでは、最も初期の段階であり完治の可能性も高いステージ0から緩和ケアを行います。診断による不安や落ち込み、また医療費の問題など、そういった症状をケアするのも緩和ケアの役割だからです。
 
「麻酔やモルヒネが中心の治療」
というイメージも誤解です。
カウンセリングや理学療法で心身の機能を高めたり、吐き気や便秘などの薬の副作用を抑えたり、不眠などの睡眠の問題を解決したりと、緩和ケアの扱う領域は極めて多様です。
 
終末期におけるペインケアはあくまで緩和ケアのごく一部であって、すべてではありません。もし癌などの重大な疾患に罹ったときは、早期から緩和ケアについて考えておきましょう。今後の治療に向き合う力を養うためにも、緩和ケアを早期から初めて億ことは極めて重要です。
 
 

緩和ケアが対抗する「痛み」とは

緩和ケアは極めて広い範囲の「痛み」に対応する治療であると既に述べました。
それでは、緩和ケアの対象とする「痛み」には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
現在の医学では、何らかの疾患において患者が受ける苦痛を全人的苦痛(トータルペイン)と呼んでいます。
そして、トータルペインは4つの側面から成り立っていると考えています。それぞれ4つの痛みの分類と、具体例についてみていきましょう。


・身体的苦痛
痛み、息苦しさ、かゆみ、だるさ、肉体的不自由、日常生活の支障など
 
・心理的苦痛
不安、うつ、いらだち、パニック、孤独感など
 
・社会的苦痛
経済的な悩み、医療費の悩み、仕事・キャリアの中断、家庭内の問題など
 
・霊的苦痛(スピリチュアルペイン)
生きる意味への問い、死生観のゆらぎ、死への恐怖、罪の想いなど 
 
こうして見ると、単純な身体的苦痛以外にも、極めて多くの「痛み」があることがわかると思います。緩和ケアはこうした広い範囲の痛みに対応する治療です。決して痛み止めのモルヒネを出すだけの治療ではありません。緩和ケア の正しい理解があれば、疾患の「痛み」とより上手に戦えるようになるはずです。
 
 
 

なぜ早期からの緩和ケアが必要なのか

「緩和ケアは終末期に行う治療」という誤解は、まだまだ世の中に根強く残っています。
 
平成22年に日本緩和医療学会が行った認知度調査によれば、
「緩和ケアはがんの終末期だけではなく、がんの初期から治療と一緒に受けることができる」
ということを知っているのは、回答者のわずか38%程度に留まりました。
 
緩和ケアについての一般の認知は、まだまだのようです。
 
 
緩和ケアは、疾患治療の最初期から、治療と平行して受けることができます。最新の研究によれば、早期から緩和ケアは患者のQOLを高めるばかりか、寿命まで伸ばすことが示唆されています。
緩和ケアは、早期から、治療と平行して受けるべきアプローチなのです。
 
疾患による体と心の痛みをやわらげることは、患者が自分らしく、元気に治療に向き合い生活することを可能にします。
疾患による経済的な痛みをやわらげることは、可能な治療の選択肢の幅をより広く、大きくしてくれます。
疾患による魂の痛み(スピリチュアルペイン)をやわらげることは、自分の人生に対する考え方を整理し、より自分らしい人生を送ることを可能にしてくれます。
 
早期から緩和ケア を始めることで、患者のQOL(生活の質)は高まり、元気に治療にあたれるようになります。これらのメリットを把握することは、治療生活の大きな助けになるでしょう。

黄金のおりん
用語タグ 緩和ケア
この記事を読んで良かったですか?
良かった 良かった

3

「緩和ケア」とは何か

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう

「緩和ケア」とは何か

「緩和ケア」とは何か

この記事が気に入ったら「いいね!」しよう

「緩和ケア」とは何か

大切なひとと考える『これからハンドブック』

pagetop