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痛みだけじゃない「緩和ケア」最期のときまで患者さんの QOLを高く保つために

2016年11月04日
痛みだけじゃない「緩和ケア」

ターミナルケア(終末期医療)の中に置かれている患者さんは、病気が原因であらゆる苦痛を覚えている場合が多いです。その苦痛を取り除くケアのことを「緩和ケア」と呼びますが、緩和ケアについてはどの程度の認知度があるのでしょうか。また、希望すれば緩和ケアが在宅でも受けられることを知っている方は、どのくらいいらっしゃるのでしょうか。

公益財団法人日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団が2012年に発表した調査結果によると、緩和ケアやホスピスのことを「よく知っている」、「ある程度は知っている」と回答した人は61.4%以上いらっしゃったようです。

一方、希望すれば在宅でも緩和ケアを受けられ、療養できることを知っていると回答した人は、ホスピスや緩和ケアを知っている人たちの中でも35.1%にとどまり、在宅での緩和ケアについての認知はまだまだ広まっていないことがわかっています。

在宅看取りにおいては、患者さんご本人の苦痛を少しでも減らすことが大切です。

苦痛を和らげることはQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)の維持・向上にもつながります。

在宅看取りのためには、患者さんの苦痛を取り除くための「緩和ケア」が重要になってくると考えられます。
(参考URL: http://www.hospat.org/research-304.html)

 

「痛み」以外にも適用できる緩和ケア

ところで、「緩和ケア」というと、病気による痛みをやわらげるもの、という印象を持っていらっしゃる方も少なくはないでしょう。

もちろん、例えばがんによる疼痛をやわらげるために痛み止めの薬を投薬することは、一種の「緩和ケア」であると言えます。

しかし、緩和ケアとは何も「痛み」だけをやわらげるためだけにあるものではありません。例えば、終末期医療の患者さんには、病気による痛み以外にも、

・身体がむくむ
・食欲がない
・便が出ない
・うまく寝付けない

などの症状が出てくる場合があります。

どれも「痛み」とはあまり関係がなさそうに見えますが、病気を患っていることに伴う苦痛であることには変わりはありません。

緩和ケアとは、終末期医療の患者さんの様々な「苦痛」を取り除くためのものです。上記のような、一見「痛み」とは関係なさそうな症状であっても、積極的にお医者さまやヘルパーに伝えていきましょう。そうすることによって、患者さんご本人のQOLが高まる可能性があります。

 

緩和ケアにおける家族の重要性

終末期にある患者さんは、病気や投薬の影響で、言葉がうまく出てこなかったり、自らの体調の変化に鈍感だったりして、苦痛を感じていてもなかなかうまく表現できないことがあります。

ですので、このような時ほど、ご家族の目が重要になってきます。

毎日患者さんと接しており、患者さんの体調を毎日把握しているご家族の皆様だからこそ見抜ける苦痛があるとは思いませんか。

例えば、患者さんの食欲が急になくなってしまった日があるとします。これは、端から見れば「何かの症状や副作用が出ている!」と考えて心配になってしまう症状ですよね。しかし、常に接してきたご家族の方からすれば、「この人の食欲が急になくなるのはいつものことで、本人もそれをわかっているし、苦痛に感じていないと言っていた」という、単なる日常の一つかもしれません。この場合、患者さんご本人が苦痛に感じていないことですから、緩和ケアの必要は然程ありません(ただし、あまりにも食欲がない状態が続く場合は、すぐに主治医へ相談しましょう)。

また、別のある日、患者さんは何も訴えないけれども、実は「何もする気が起こらない」という症状が出ていたとします。この時、普段から患者さんと密に接していない人たちには、患者さんの心身の変化に気づくことはなかなかできません。しかし、普段から患者さんと接しているご家族の皆さんであれば、「普段と何か様子が違うな」と気づき、患者さんに声をかけることができるかもしれません。すると、患者さんご本人から「実は……」と苦痛に感じていることを伝えてもらうことができ、緩和ケアへとつながります。

簡単な例ではありますが、在宅看取りにおける緩和ケアには、やはりご家族のお力が必要不可欠であることがおわかりいただけましたでしょうか。

患者さんご本人が幸せに最期を迎えるため、そしてご家族が穏やかに看取るために、患者さんのあらゆる苦痛のサインを受け取り、その苦痛を和らげる緩和ケアを積極的に活用していきましょう。

 

QOL向上のための緩和ケア

在宅看取りや介護の現場においては、どうしても、介護者だけでなく、患者さんご本人にも長く厳しい戦いが強いられてしまうという現実があります。

大事な最期の瞬間までを、厳しく戦い続けるか、それとも穏やかにのんびりと過ごすのか。どちらを選ぶかは、患者さんご本人の気持ちを最も優先して決めるべきことでしょう。そして、介護者は患者さんの気持ちに沿った医療やケアを受けさせてあげたい、と思うものです。

もし、患者さん自身が緩和ケアの使用を積極的に求めるようであったり、ご家族の目から見てあまりにも辛そうな様子であったりする場合は、ぜひ緩和ケアを利用しましょう。どんな些細なつらさや痛みでも、主治医やヘルパーに積極的に伝えることが大切です。

黄金のおりん
用語タグ 緩和ケア
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