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早すぎる「看取り」の困難 若くして終末期を迎えるがん患者たちへのケア若き患者たちの苦悩をどう受け止めるのか

2016年10月12日
早すぎる「看取り」の困難 若くして終末期を迎えるがん患者たちへのケア

早すぎる終末期

日本人の平均寿命は83.1歳、
この世界有数の長寿大国では「看取り」の時期は必然的に遅くなる傾向にあります。
 
国は75歳以上を「後期高齢者」と定義していますが、お看取りの現場もやはり70代、80代、90代、といった世代が中心です。みなさんも、自分自身の「看取り」が始まるのはそのくらいの歳だろう…と考えていることが多いのではないでしょうか。
 
しかし、「看取り」の時期は必ずしも平均通りに来るものではありません。
若くして終末期を迎えてしまう事例、というのも少なからず存在します。
 
その代表例が「がん」です。
 
がんで亡くなる人の平均年齢は70歳。
これはがん以外で亡くなる人の平均年齢85歳と、15歳もの差があります。
 
70歳、多くのひとがまだまだ人生の7分目…と思っているこの時期に「終末期」の宣告を下された方はどうすればよいのでしょうか。
 
本稿では若くして終末期を迎えた患者を専門的にケアする医師のインタビューから、若年者への看取りの現実についてご紹介します。
 
 

「死の受容」の難しさ 

若年がん患者のホスピスケアを専門とする川越医師は
 
「日本人は、ある意味で死ぬことを受容してきた民族」
 
であると語ります。
 
実際、80歳から90歳の方の看取りでは「死の受容」について、それほど大きな問題は起きません。ご本人が死を受け入れ、すんなりと逝かれる場合が多い。
 
しかし、「看取り」の時期が60代、50代、ときには40代…ということになってしまうがん患者の場合、そうは行きません。
 
40代といえば、働き盛り、自分の「老後」などまだ頭の片隅にもない時期ではないでしょうか。50代,60代も、現代日本では「お年寄り」というような歳ではありません。
 
そういった時期に終末期を宣告された患者さんは、すんなりと「死を受け入れる」というような境地にはなかなか達することができません。
 
しかもがん患者の方は、亡くなる直前まで気力・体力を充溢させていることが多い。
 
一見元気な身体と精神を持っているのですから、目前に迫る最期というものにすんなり適応できないのも、ある意味当然と言えるでしょう。それを納得させ、患者の終末期をケアしていかなければならない。それだけ、若年期の「看取り」は難しいのです。
 
 

残された時間の乏しさ

 
さらにがん患者の看取りには「時間」というもう一つの壁もあります。
 
川越医師によれば若年がん患者の看取りケアに費やせる時間は平均わずか32日だといいます。
 
これは、現代医学がギリギリの最期まで「徹底して治す」という姿勢をとっているからです。すると当然「さじを投げる」段階になると、残された時間は短くなる。
 
最期まで諦めず治し切るという姿勢は、それはそれで立派なものですが、それが故に若年がん患者の看取りケアが難しくなっているのも、また事実でしょう。
 
誰しも自分の死を受け入れるには、それなりの時間が必要です。それは残される家族にとっても同様でしょう。しかし、川越医師はそれを32日間でこなさなければならない。
 
32日間という限られた時間。これも若年がん患者の看取りにおいて大きな壁と言えるでしょう。
 
「死の受容」の困難さ、「残された時間の乏しさ」、このように、若年患者を対象とする看取りケアには、多くの壁、多くの困難が横たわっています。
 
それではプロの医療者たちは、どうやってこの困難に取り組んでいるのでしょうか。
 
それは次回の記事
 
・若年患者のターミナルケア 医師に可能なケアと、スピリチュアルケア
 
で詳しくご紹介していこうと思います。
黄金のおりん
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