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高い?安い? 在宅看取りの医療費の目安金銭面での負担は在宅看取りだとどう変わる?

2016年07月22日
高い?安い? 在宅看取りの医療費の目安

在宅看取りの金銭負担

在宅看取りを考える上で気になってくるのが金銭面での負担。
 
病院看取りや、施設看取りと比べて、在宅看取りの費用面での負担は重いのでしょうか?軽いのでしょうか?また、実際にはどの程度の費用がかかるものなのでしょうか。
 
本稿では在宅看取りにまつわる「お金」の話について、具体的な数値を出しつつ考察していきます。
 
 

病院看取りと比べると、在宅看取りの費用負担は軽い

 
一般的に言えるのは、在宅看取りは病院・施設での看取りと比べると費用負担としては軽くなる傾向にあるということです。
 
在宅看取りの場合、在宅医の方に往診をお願いする形になります。
 
「往診」というと、医師をわざわざ家に呼び寄せるのだから、かなりの診療費が必要になるのでは?と思ってしまいます。
ですが実際のところ、イメージよりも負担額は少ないと言えるのです。
 
 
例えばとある診療所のケースを見ていきましょう。
 
在宅患者さん93名のかかった医療費の統計を見てみると、
 
 
 
10人中9人が負担額10000円以下、
 
4人中3人は7500円以下、
 
平均でかかった金額は6723円という結果になりました。
 
「思ったよりも安い」というのが、多くの方の感想なのではないでしょうか。
 
さらに具体的な金額を見るため、上記の引用元から実際にあった3つのケースをご紹介します。
 
 
ケース①93歳女性 進行したアルツハイマー痴呆
 
1ヶ月にかかった点数5740点(5,740円)の平均的なケース 。
重度のアルツハイマー痴呆。現在は、すでに嚥下障害や転倒など終末期の症状が見られるが、平日のデイケアと医師の月2回の訪問診療を受けている以外は、息子夫婦、娘などの家族介護をうけている。訪問診療では、接し方や環境整備のアドバイス、意思決定の援助、急変時の治療などを受けている。投薬は下剤だけなので、薬剤費はほとんどかからない。
 
 
ケース②60歳男性 大腸癌末期
 
1ヶ月にかかった医療点数17062点(3割負担で51,186円)と高負担のケース
転移性肝癌、癌性腹膜炎、骨盤内転移。癌性胸膜炎による呼吸困難に対して、胸腔穿刺、在宅酸素療法を行なった。ホスピス入院までの9日間で5回の往診。保険点数は17062点であるが、3割負担であるので、自己負担は高齢者の3倍となり、自己負担は高額となった。
《末期癌の方の場合、院外薬局で処方するモルヒネなどのオピオイド鎮痛剤の薬価が高いので、これに加えて薬剤費の自己負担が見過ごせません。この方は 9日間でしたがオピオイド鎮痛剤だけに3936.8点(自己負担で11,811円)かかりました。》
 
 
ケース ③72歳男性 脳卒中後遺症
集中的な治療を行なったため、1ヶ月に34485点自己負担(34,485円)と高負担となったケース
四肢完全麻痺。糖尿病でインスリン自己注射、気管切開で週1回の気管カヌレ交換と人工鼻の使用、月1回の胃瘻交換、数箇所の床ずれと糖尿病性壊疽があり、骨髄炎の危険が大。
数種類の被覆剤を使用。プロスタグランディンと創傷処置のために13回の往診を実施するなど、集中的な治療を要したため、医療点数が高くなった。
 
 
このように、ケース②のように医療費負担が3割の方や、ケース③のように四肢完全麻痺などの重篤な症状でも、医療費はこの程度に収まるというのが現状のようです。
 
また薬剤費が高額になるケースでも、「高額療養費制度」を利用すれば負担を最大でも44000円までに抑えることができます(高所得者は83400円)。
 
 

高額療養費制度とは

 
高額療養費制度とは、医療機関や薬局で支払った額が、月の一定額を超えたとき、超えた金額を国から支給してもらえる制度のことです。
 
負担上限は年齢や所得によって変わり、以下の表のようになっています。
 
 
 
 
高額療養費の申請は加入している公的医療保険(健康保険組合、後期高齢者医療制度・共済組合など)に対し、高額療養費の支給申請書を提出することで支給が受けられます。
 
加入している医療保険によって申請先が違います。保険証の表面を見て、ご自分の加入先を確認しましょう。
 
 

病院看取りだと、「食費」・「居住費」などがかかる

 
病院看取りが費用的に高額になってしまう背景には「食費」「居住費」「差額ベッド代」などに「高額療養費制度」が適用されない点にも原因があります。
 
病気でなくとも必要となる「食費」や「居住費」については、医療費とはみなされず実費による負担となります。すると病院のベットで入院すると、せっかく自分の家があるにも関わらず住居費が二重にかかることになってしまいます。家を出てホテル暮らしをするのと同じような費用がかかってしまうわけですね。
 
特に「差額ベッド代」、例えば個室の病室に入居したりすると、特別費用として通常の居住費とは別にベット費が必要になります。
 
こうした医療費以外の出費が必要なことが、病院での看取りが在宅看取りより高額になりがちな原因なのです。
 
 
 
いかがだったでしょうか。
 
もちろん個々の症状や、医療以外の介護サービスの利用頻度など、様々な費用の要因はまだまだ存在します。
 
ですが看取りの方法を考えるにあたって、こうした「費用」を考えるとき本稿を参考にしていただければ幸いです。
 
それぞれにあった、より良いお看取りの形をみなさんが選択できることを願っています。
黄金のおりん
用語タグ 在宅看取り
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