医療・介護から看取りを支える人たちのインタビュー ”ひと”

インタビュー“ひと”
看取りを支える人たち - Human Inteview -

人を看取るという仕事。僕はこの仕事に誇りを持っています【1】

Profile

株式会社サンハート
戸倉 英人施設長

介護付有料老人ホーム「SILVER SUPPORT 星にねがいを」施設長

どんな最期を迎えたいか?

施設内でのお別れ会が開かれる和室

編集部:

入居者の方の最期の迎え方について、どういった考えを持っていらっしゃいますか?

 

◆戸倉施設長(以下、戸倉)

ご本人がお元気なうちから、将来的にどういう生活、最期を迎えたいのかといったところを話せる関係性づくりにこだわっています。もちろんご本人様のご意向というのが一番大事ですけれども、ご家族様ともたくさんお話を重ねていきます。

やっぱり最期の理想というのが皆さんおひとりおひとりあります。「私はこうやって最期を迎えたい」とか、「こんな感じで周りの方に囲まれていたい」とか。

いろいろありますので、僕たちとしてはそれに向かって、全力でそういう最期を迎えられるように考えて工夫していきます。

 

編集部:

お元気なうちですと、「どんな最期を迎えたいか」っていうことについてはまだあまりイメージを持ってらっしゃらない方が多い…といったことはないですか?

 

◆戸倉

いや、皆さんけっこう経験があるんですよ。先に、例えばご主人をお見送りしたとか、自分の親のときはどうだったとか。

皆さんそういう経験がおありになる。人生経験がたくさんある方たちなので、「自分のときはこうしてほしい」とか絶対あるんですね。

皆さんだいたい「延命はしてほしくない」っておっしゃる。そういったご本人の思いというのが一番なのですけれども、ご家族様もまたそこでご意見があります。それらがマッチするように、本人ともご家族ともそれから本人とご家族の間でもいっぱいお話を重ねて…、という感じですね。

でも、実際はご家族からしかお話が聞けないことも多い。

 

編集部:

といいますと?

 

◆戸倉

例えば、お元気なうちにご自分で「こんな最期を迎えたい」って言える方はいいのですけれども、認知症が結構進まれていたりとか、もう寝たきりの状態で来られる方っていうのはそういうのが言えない状況が結構あります。

そんな中で、ご家族様に「この方は若いときに何かおっしゃってましたか」とか、「自分の最期はこうしたいとかって、なにかおっしゃっていましたか」と聞き取りをします。

でも結局、皆さんそういうの考えてなかったりして、「そんなの聞いたことないよね」とかっておっしゃるご家族の方もたくさんいます。

そういうときに、「じゃあ、お父様のときは奥様どういう対応されてましたか」とかってお聞きしますと、「お父さんのときはこういうふうにしてあげたいって母は言ってたわ」などと出てくる。「ということは、きっとそのお考えはご自分に対してもそうだと思いますよ」っていうことで、その方向に持っていくとか。だから、本当にたくさんのことをお話しして、その方が育ってきた環境とか生活されていた環境をいっぱいご家族から聞き取るっていうことが、その方の意思を知るっていうことにつながっていくと思うんですよね。

もちろん、ご本人から聞ける場合は、ご本人から直接聞けばいいのですけど。

絶対に一人では逝かせない

編集部:

ところで、最初の段階つまりある程度元気な段階で「こういうふうにしたい」っていうのがあっても、ターミナルになっていろいろと状況が変化するにつれて、本人もご家族も希望や思いがすごく変わるっていう話をよく聞くのですが…

 

◆戸倉

変わっていきますけど、基本的には皆さん最期は苦しまずに安らかに…と思っていらっしゃいますので、楽にしてほしいってことになりますね。

ですので、本当に緩和ケアというところに力を入れています。延命ということではなくて。

最期をどう幸せに迎えさせてあげるか。また、痛みや苦しみをどれだけその感じ始めた初期の段階で取ってあげられるか…といったところが、おそらく看取りの一番重要なところなのかなと考えています。

 

僕の意見ですけれど、最期は一人で絶対逝かせたくないのです。誰も気づかってないところでいつのまにか息を引き取っていたということには絶対にしたくない。必ず誰かそばにいて最期は看てあげたいっていうのがあります。

もう11年この施設も歴史があるので僕もスタッフも経験が長い。「そろそろ、今晩、明日あたりかな」っていう予想がつくぐらいの経験はひとりひとり持っていますので、その時点でご家族を呼びます。「もうそろそろですよ」とお伝えして、泊まっていただいたりとか。なかなかそれが難しい方の場合は、代わりにうちのスタッフが一晩寄り添ったり、私たちが泊まったりっていうことはありますけど、「絶対に一人では逝かせない」と心がけています。

急変して突然息が止まっているということもありますけれど、できる限り気にかけている人がいるという状況の中での最期となるよう心がけています。

 

編集部:

ご家族の場合は、同じ部屋で横にベッドを置いて…ということでしょうか?

 

◆戸倉

同じフロアにある別のお部屋にお泊まりできますし、同じお部屋でということもできます。いずれにしても「そばにいてあげてください」って言えるような、お互いが存在を感じ取れるような環境を整えています。

 

編集部:

スタッフさんの場合はどこで寄り添うのでしょうか?同じお部屋で…ということですか?

 

◆戸倉

スタッフもフロアに必ずいますので、「もうそろそろかな」と思ったら、必ず夜勤補助の者でもそばについててあげてねっていうことをしてますね。

ご本人やご家族の希望やお考えによりますが、お部屋の中で…ということもあれば、ベッドをフロアに出させていただいてパーティションで少し囲って本当に目の離すことのないように配慮したりとかといったこともありました。

皆さん最期は苦しみたくないと望んでおられますが、こういった寄り添っている人がいるとちゃんと感じられていることでずいぶん苦しみが軽減されていらっしゃるように思います。

本当に最期を迎えてくる最終段階は分かります

編集部:

ターミナルがスタートしてから実際にお亡くなりになるまでの期間って、だいたいどのぐらいのものなんでしょうか?

 

◆戸倉

その方にもよりますけど、本当に見つかった時点であと1カ月っていう方もいますし、「あれ?3カ月って言われてたけど、半年頑張ってるね」という方もいらっしゃいます。

全然そこは読めないのですけれども、でも本当に最期を迎えてくる最終段階は分かります。もうあと1週間、「今週ぐらいだね」っていうのは。

そこからは僕たちも連絡体制を万全にして、「今週は何があっても駆けつけられるようにしようね」っていう。

 

編集部:

皆さんもって施設長であるお二人もでしょうか?

 

◆戸倉

そうですね。

 

◆鈴木事務長(以下、鈴木)

特に私は自宅近いので、もう24時間電話がかかってくるような状況なので、いつでも出られるようなかたちにしています。

緊急時の対応とかも全部こちらでやります。なるべくそういった慣れないことは夜勤者さんとか経験の浅い新人スタッフにはなるべくさせないように私の方ですぐにこちらに来て、家族に連絡したり、救急車連絡したりといった対応を行っていく。

 

編集部:

連絡の順序は、ご家族への連絡が先ですか?それとも医療関係が先?

 

◆鈴木

医療ですね。医療に連絡して、医療からの指示で提携している主治医の先生が来るのか、救急車をこっちで呼ぶのかっていう判断をもらいます。

救急車呼ぶにしても医療のほうで救急車が着く前に、もう行き先、病院を探してくれているので、救急車来てから探すのではなくそのまま出発します。時間ロスしないようにですね。受け入れ先病院を探すのに時間がかかって…救急車がなかなか走り出せないということを防いでいます。

 

◆戸倉

本当に終末期で、無理な延命以外はもう医療的にやれることはほとんどない、そういった看取りとなるとそこまではしないですけどね。まだ余命は十分あるはずなのに急に急変されてって方は「救急車!」ってなります。

けれど、もう余命が分かっている方に関しては「いつ息が止まってもおかしくないから」って、「覚悟してね」って言ってます。

もううちの夜勤もベテランなので、「今晩かもしれませんね」って言って引き受けてくれるようになりました。

 

◆鈴木

そういう状況で、救急車で病院に運ばれ入院されている方の場合には、ご家族と話をさせていただいて「できれば施設に戻ってきてこちらで最期を迎えさせていただければ」ということでお話しさせていただいていますね。

先ほど戸倉からもあったように、「一人で亡くなってほしくない」っていうので。ご本人の意思が必ずしも明確でないこともありますが、やっぱり「病院じゃなくてここで最期を迎えたい」と感じていらっしゃると思うので。ここは入居されている皆さんからはもう、「自分の家だ」と思っていただいているので。

 

(続く)

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更新日:2016年03月22日


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