医療・介護から看取りを支える人たちのインタビュー ”ひと”

インタビュー“ひと”
看取りに取り組むフロントランナーたち - Human Inteview -

介護保険の枠にしばられないオーダーメイドの終末期サービス(3)

Profile

株式会社ホスピタリティワン
高丸 慶業界人

株式会社ホスピタリティ・ワン(東京都港区)代表取締役 おくりびとアカデミー校長 訪問看護支援協会代表理事 高野山大学客員准教授

「豊かな終末期」を支える良き伴走者として、訪問看護業界の発展を目指す

NTT東日本主催の「訪問看護ステーション様向けセミナー」での一幕

――訪問看護協会設立への想いとは?

 

「業界の発展」です。僕が看護学部の1年生の時に重度の障害児を集めた、看護師の女性が所長をされていた作業所がありました。

「私は簿記の勉強もせずに思いだけで立ち上げたのよ」というお話に当時は感銘を受けたのですが、大学4年の時には経営が成り立たなくなってつぶれてしまいました。

 

大学の4年間で他のそういった活動をいくつも見ていくなかで、「看護師には思いが強い方たちはいるけれど、それを支える経営やマネジメントの知見が圧倒的に足りないな」ということが分かってきました。「この状態を何とかしなければ」とも。

 

訪問看護ステーションは重要な社会資源です、経営が成り立たなくなって一番の被害者は、患者さんでありご家族ですから。また、強い思いでつながっている関係ではさっさと割り切って転職するということでもないので、そこで働くスタッフの方が活かされなくなっていくという負の連鎖も起きがちです。

 

―訪問看護ステーションの現状は?

 

赤字等で閉鎖してしまう事業者も多く、毎年休止や廃止にいたる訪問看護ステーションは300以上にもなります。今8000ヵ所しかありませんが、1万ヵ所まで増やさないと国全体に訪問看護が行き渡りません。

 

今の多くの訪問看護ステーションの運営は、国のほうだけを見ている。報酬が減れば「下げられた」と怒るだけ。

この経営の在り方を変えていけるよう、協会ではセミナー等、啓蒙活動を行っています。

訪問看護師の役割とは

経済産業省ヘルスケア産業課の江崎禎英氏による、公的保険外サービスの方向性について

――地域包括ケアの構築に有望視される「医療・介護連携のICT化」により、「医師が投薬や処置を遠隔で指示し、現場では介護士らがその指示に従う」という流れが生まれ、その中で、看護師の役割や立ち位置も問い直されるという可能性も今後は考えられますが?

 

その通りです。そうなる前に、今から看護師の存在価値を改めて問い直していく必要があります。

「このままやっていけばいい」という考えを根底から覆さないと。「そこで看護師は何をするのか」にきちん向き合って考えてほしい。医者を目指したりヘルパーになるのかという議論ではなく。

 

本来、看護師は『看る』という字からも分かるように、コミュニケーションと観察のプロでなければなりません。

緩和ケアにおいて重要な概念である『トータルペイン(全人的苦痛)』では、人の痛みは『体』『心』『家族』『スピリチュアル』の4つの側面があって、たとえば、『体が痛い』と訴えるおばあさんの背景には、嫁姑問題だったり、お金の問題だったりと、さまざまな問題があるというお話を先ほどお話ししました。

患者さんに最初に話をきくことの多い我々看護師が、多職種連携のハブとなるコミュニケーションをしていく。そこをコーディネートできれば、看護師が社会で必要とされ続けると思っています。

資格制度というアプローチも

おくりびとアカデミー

――協会では「エンディングコーチ」という資格を設けているそうですが。

 

「豊かな終末期」を支える終末期の専門家として、介護保険、医療保険の利用から、葬祭関連や仏事に関しての必要な社会資源を提示できる、取捨選択のサポートができるようになることを目指しています。すでに資格所有者は250名ほどになります。

 

また、私が校長を務める「おくりびとアカデミー」では、おくりびと(納棺師・湯灌師)を目指す人材を育成していますが、「看護師やヘルパーさんたちを、納棺師としても育てることができれば」と考えています。

 

100点満点の看取りはない。『ああしたらよかったかな』という想いは皆さん必ず抱く。でも『これはできたね』というものを1つでも2つでも増やしてもらえたら。

そのためには、ご本人やご家族の良き伴走者となれる看護師を支え、増やしていきたいと思っています。

 

 

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更新日:2016年04月15日


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