看取りを知る

日本の看取りをめぐる状況

もはや病院に長くいられない時代

2008年に発表された厚生労働省の調査結果によれば、日本では8割以上の方が病院で亡くなっています。 しかし、これから病院は「最期の場所」としての役割を果たせなくなることがわかっています。現在は、人口の4人に1人が高齢者という「超高齢化社会」です。これまでの高齢者の長期入院を前提としては病院のベッド数が患者さんの増加に追いつかず、全ての患者さんへベッドを提供できなくなっています。特に医師の数や設備の整った急性期病院においてその傾向は顕著です。2015年現在、患者さんが1回入院されてから、平均して滞在する期間は10日前後を推移しています。

他方、終末期の療養の場として人気を集める緩和ケア病棟へ実際に入れる人はほんのわずか。政府の財政状況や医療保険制度を見ていると、厳しい将来像が見えてきます。これから政府の補助を頼りに、緩和ケア病棟を拡大できる状況にはありません。

高齢者の求める終末期ケアのあり方にも変化が…


た、高齢者の意識にも「病院離れ」が起きています。前述の調査でも「最期を迎えるのに理想の場所」としていわゆる病院をあげる方は約30%にとどまっています。また、その割合も年々減っています。しかも、この30%には、穏やかな看取りを目指す緩和ケア病棟も含まれているのです。

この流れは、高齢者が求める終末期の理想像が「病気を治そうとする医学的な考え方」から、「体や心の機能低下と折り合いをつけながら、穏やかに暮らす考え方」へと変化していることを示しています。具体的には、無理な延命治療によって不本意な形で生かされ続けることへの抵抗感や「リビング・ウィル」をはじめとする「自分の最期を自分で決めたい」「ピンピンコロリが理想だ」といったお話が増える…というかたちで現れています。

終末期をどこで暮らし、どこで看取られるか

こまで「病院のベッド不足」と「高齢者の意識面での病院離れ」が進みつつあるとご案内しました。これら2つの流れは「人生の最後をどこで迎えて、誰にどう看取られたいか」というテーマに、これまであまり注目されてこなかった「介護施設での看取り」と「これまで暮らしてきた自宅(在宅)での看取り」への関心の高まりを生んでいます。

それぞれの看取りの特徴を整理すると、このようになります。
1. 介護施設での看取り
介護施設での終末期を考えると、かなり早いうちから入居しておく必要があり、在宅に比べ多くのお金がかかります。特別養護老人ホームのような補助金があることで比較的費用が抑えられる施設もあります。しかしそちらはなかなか空きがなく、入居が困難な状況です。
そのいっぽうで家族の負担は在宅に比べればはるかに小さく、介護や医療・生活支援といった各種サービスの確保や、専門職のメンバー間の連携など知識や経験が必要な場面でも施設がサポートしてくれます。そのため「病院はどこにしよう」「ケアマネさんはどうやって選べばいいのかしら」とご家族でそれぞれのサービス事業者を探して、関係をつくる必要性は少なくなります。

施設でのお看取りを選択される場合「お金や体調に合わせた適切な施設をどう選ぶのか」と「入居した後、施設のヘルパーやケアマネの方と良好な信頼関係と相互理解を育んでいくこと」が主な課題となります。

2. 在宅での終末期について
在宅でのお看取りは、施設でのエンディングに比べると一般的に直接支払う金銭面が節約できることが大きな特徴です。しかし、様々な介護や医療サービスを利用したとしても、支え続けるご家族の身体的・精神的な負担は大きくなりがちです。

統計を見ると、男性が要介護になった場合はその奥様が介護する側になる割合が多く、女性が要介護者になった場合はお子様が介護者になる傾向にあります。どちらも老老介護・介護離職としてすでに社会問題となっています。
また、在宅での介護・医療・看取りに向き合った際に課題となるのが「多くの事業者と繋がり、親密な関係を持つ」ことです。看取りまでにご家族・本人が関わることとなる方はケアマネージャー・ホームヘルパー・訪問看護師・かかりつけ医・歯科医・薬剤師・理学療法士・管理栄養士・配食サービス事業者…といった非常にたくさんの事業者や専門職となります。理想的な看取りを迎えるためには、ご家族と各事業者・多職種の生きた連携が欠かせません。

このためにも、ご家族は「医療・介護・福祉」の分野でどんな事業者やサービスが近くにあるかを調べ、コネクションを作っていくことが重要です。

さらに、施設入居であっても在宅であっても、目に見える支えやケア以外の「生きがい・他者との精神的なつながりといった心の充実が実は大切だった」というお話を多く耳にします。「看取り」には、「その方の人生の最期をどういう形で締めくくるのか」という人生のテーマが関わっていることから当然のことなのかもしれません。


お看取りまでできる介護施設をさがす
全国の看取りまでできる介護施設をさがす

pagetop