看取りを知る

介護から看取りにかかるお金のはなし

介護・医療の基本的な費用

護保険制度では、要介護度の判定が、要支援1-2、要介護1-5の7段階に分かれています。また、各介護度によって、サービスを利用できる支給限度額が設定されています。支給限度額は、全国共通の「○○単位」と表示され、要介護度1の場合、1ヶ月に利用できるサービス額は、16692単位です。1単位は通常10円で換算されるので、1ヶ月166,920円分のサービスが使えることになります。自己負担額は、満額利用した場合、1割の16,692円になります。この限度額を超えた場合は、全額自己負担となります。

  • 介護認定の7段階
    • 【要支援1】
    • 日常生活の基本動作は自分でできるが、
      今後、要介護状態に進行しないように支援が必要。
    • 5003単位
    • 【要支援2】
    • 立ち上がりや歩行が不安定で、何らかの支援が必要。
    • 10473単位
    • 【要介護1】
    • 日常生活はほぼ自立しているが、排泄や入浴で介助が必要。
    • 16692単位
    • 【要介護2】
    • 立ち上がり、歩行が自力では困難。入浴、排泄でも介助が必要。
    • 19616単位
    • 【要介護3】
    • 起き上がり、寝返りが自力ではできない。
      入浴、排泄、着替えも介助が必要。
    • 26931単位
    • 【要介護4】
    • 日常生活の自立度が低下し、生活全般で全面的な介助が必要。
    • 30806単位
    • 【要介護5】
    • 日常生活能力が著しく低下し、生活全般で全面的な介助が必要。
    • 36065単位


実際の利用状況を見ると、各介護度の満額を利用する人は少数で、多くの利用者が限度額の6割程度にとどまっています。要介護5の場合、満額で月額360,650円利用できます。自己負担額は36,065円となります。しかし、毎月この金額を支払うことが家計に与える負担は大きいのが実情です。結果的に、実際の利用額は6割程度に抑えられているのです。

事例で見てみよう
こんなサービスを使ったらいくらかかる?

1 ベーシックなサービス利用
・利用者データ 70代後半の一人暮らし女性 要介護 2
・サービス利用
  訪問介護 週4回
  訪問看護 週1回
・1ヶ月の自己負担額 9,500円

要介護2でもなんとか一人暮らしを続けている女性。きっかけは、それまでの週に1回の通院が億劫に感じられるようになったことです。幸いにも通院していた病院が訪問看護サービスをはじめることになり、体調が著しく悪くならない状態であれば、週1回の訪問看護を利用することになりました。日頃の体調管理は看護師にゆだねつつ、医師とも連携していることでの安心を得ることができました。

2 デイサービスを利用して家族の負担を軽減
・ 利用者データ 80代前半女性 家族と同居 要介護3
・ サービス利用
  訪問介護 週5回
  訪問看護 月1回
  デイサービス 週3回
  車いすと電動ベッドのレンタル
・ 1ヶ月の自己負担額 21,000円

在宅介護の限界は、介護する側が体力的にも精神的にも追い込まれているときです。毎日同じことの繰り返しが続くのですから、精神的な疲労感は相当なものです。もう無理かもしれない、と頭に何度も浮かんだという話を家族から聞いたことがあります。
そんなときは、休息する時間を確保すべきなのですが、簡単にその機会が得られるとは限りません。利用者の面倒をずっと見てきた長男の嫁も、デイサービスの存在はすでに知っていましたが、夫にどうしても言い出せない状況が続いていました。
その結果、体調を崩す最悪の状態に追い込まれてしまったのです。介護の担い手が倒れてしまったら、在宅介護は成り立ちません。立ち行かなくなった状況で、初めて夫が介護に関する相談をケアマネージャーにしたそうです。
ケアマネージャーの対応は迅速でした。すぐに利用できるデイサービスを見つけてきて、夫に見学を勧めました。カラオケの好きな利用者には、たまには外で歌ってみませんか、と体験利用に誘い出すことにも成功。すぐに、デイサービスの利用が決まりました。

3 ショートステイを積極的に利用する
・ 利用者データ 70代後半の男性 家族と同居 要介護5
・ サービス利用
  訪問介護 1日2回を週5回
  訪問入浴 週1回
  訪問リハビリテーション 週1回
  訪問看護 月2回
  デイサービス 週1回
  ショートステイ 毎月5日間
・1ヶ月の自己負担額 32,100円

介護保険が始まったころは、冠婚葬祭で家族が出払ってしまうときの対応策としてショートステイサービスは利用されてきました。特養などの介護施設で、2・3日の短期間滞在することができました。現在は、こうした緊急対応に加えて、介護する側が休息・リフレッシュするためのサービスとして広く利用されるようになっています。
介護疲れを溜め込まない。思い切って介護から離れる時間を作ることが、在宅介護を継続していく上でも重要と考えられるようになったからです。サービスを利用できる期間も連続30日以内と長期間の利用が可能となっています。
配慮すべき点は、利用者の生活環境が大きく変わることです。体験入居や短期間の利用を経験してから、本人が納得してショートステイを利用できる環境を作ってください。定期的にショートステイを利用することで、在宅介護をより長く続けることが可能になります。
事例の男性は、要介護5でほぼ寝たきりの生活が続いています。家族の疲弊も大変なものですが、環境を少し変える時間をもつことで、利用者本人にも効果が出ているようです。

4 有料老人ホーム入居の場合
都心部事例
  家賃   156,000円
  共益費   45,000円
  食費    45,000円
  総額   246,000円
地方都市事例
  家賃   85,000円
  共益費  45,000円
  食費   45,000円
  総額   175,000円

一昔前は、入居金が1000万円以上で、月々の費用も50万を超える施設もありました。依然としてこうした高級施設も存在していますが、全般的に見て入居にかかる費用は安くなっています。
平均的な費用で見ると、家賃・食費・共益費の合計で15万円から20万円前後がもっとも多い価格帯になっています。総額でかかる費用は介護保険の自己負担額とおむつ代などの実費分が2—3万円かかると考えてください。

入居費用の価格の大きな違いは、立地条件によって左右されることが多いようです。都心部の便利なところにある物件と地方の物件を比べれば家賃に差が出てきます。全国に介護施設を展開している事業者の入居費用を比較しても、都心部と地方都市では4—5万円違っています。やはり、利便性の高いところにある施設に入居するには、それなりの費用がかかることになります。また、施設内にリラクゼーションルームや寝たきりになっても利用できる機械浴の装置、マッサージ器やシャワー付の洗面台など装備が充実すればそれだけ費用も高くなる傾向があります。
食費に関しては、立地に左右されることはほとんどありません。平均的に見ると月額35,000円から50,000円程度になっています。
入居の段階で注意すべきポイントは、すでに説明していますが、介護保険の自己負担分がどのくらい見込まれるのか、入居契約の前に確認することです。介護度別に決まっている利用限度額の満額をケアプランに盛り込む施設もあります。本当に必要な介護保険サービス利用のケアプランが入居者ごとに計画されるのか確認してください。

注意すべき経費 雑費・管理費

ービスを利用する段階で、こんなに安いはずがない、と疑問をもつことが必要です。介護保険に定められた利用料は確定しているものですが、在宅サービス、施設入居にかかる費用には不透明なものもあります。


母親が入院先から退院を求められている家族から、住宅型有料老人ホームへの入所先選びの相談を受けたことがあります。
「総額で9万円だったらそれほど高くないですよね」という反応に、まずいと感じました。
パンフレットを見ると、家賃、管理費、食費、雑費まで含んで、たしかに総額9万円と書かれていました。しかし、住宅型の有料老人ホームならば、お母さんのように入所してすぐに介護保険サービスの利用が必要な場合、必ず、介護保険の自己負担額が必要になります。その点に関して、パンフレットには小さな文字で次のようにかかれていました。
「介護保険を利用する場合、自己負担額が必要になります」
小さな文字で、気がつかない人もたくさんいるでしょう。早速、どのくらいの費用がかかるのか、聞いてくるようにアドバイスしました。
ところが、事業者から返ってきた答えはとても曖昧なもので、具体的にどのようなサービスを利用するのか、費用はいくらくらいかかるのかが説明されませんでした。
おそらく、要介護度ごとに決まっている介護保険の利用限度額を満額請求できるケアプランが実施される可能性が高いと想像できます。先ほど説明した月額の費用9万円に3万円以上の追加費用が発生することになります。
結果的に、月額の経費は12万円に跳ね上がります。これなら、もう少し設備が整っている施設にも入ることが可能です。表示されている料金に関して、きめ細かくチェックしてください。さらに、雑費と表示されている料金以外にも、月ごとに新たにかかった費用を請求されるケースもあります。この費用も、どのくらいになるのか、きっちりと確認しておきましょう。
有料老人ホームやサ高住の入居では、かかる費用を注意深くチェックすることが必要です。料金表示が曖昧な事業者は信用できないと判断してかまわないと思います。
また、月にかかる費用は家賃や食費以外にも存在します。実費負担となっているおむつ代や行事にかかる費用の負担など、はっきりと示されていない料金もあります。これらに関しても事前に確認しておく必要があります。


大切なひとと考える『これからハンドブック』

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