看取りを知る

押さえておくべき介護の基本

介護をサポートしてくれる制度 介護保険

退院後、他の病院に転院する、あるいは、介護施設に入る、在宅に戻って介護を受けながら生活する。 いずれの選択をした場合にも、その先に待っているのは日常生活を支えるケアです。
現実問題として、介護全般を身内の力だけでやりくりすることはできません。 施設に入った場合も、施設内で介護サービスを受ける必要があります。 それを支えているのが、「介護保険制度」に定められたサービスです。

介護保険制度は、2000年から始まった制度で、 介護を必要としている高齢者とその家族の抱える負担、不安を社会全体で支えていこうという発想で作られたものです。 みなさんも、40歳になれば被保険者となり、毎月健康保険料と一緒に介護保険料を支払っています。
実際に介護保険サービスを利用できるのは、原則65歳からで、 一部、特定の疾病を抱える人であれば40歳以上で利用できます。 現在、約550万人以上の高齢者が介護保険を利用しています。 介護保険サービスを利用するためには、利用の申請を行い、「要介護認定」を受ける必要があります。要介護の段階は7段階あり、介護サービスが受けられる要介護1~5(数字が大きくなるほど重度)、介護予防サービスの対象となる要支援1・2に大別されます。

サービスの利用にかかわる自己負担額は、原則1割、残りの9割が保険から支払われます。2015年の改正で、所得によって2割負担が実施されました。介護サービスの種類は25、介護予防サービスは17あります。それぞれのサービスを在宅か施設で利用することになります。 介護保険は分かりにくいとよく言われます。とくに、サービスの種類が多く、その名称も漢字がずらりと並ぶもので、どのようなサービスか想像がつかないものもあります。これらのサービスを理解する方法として、どこで介護サービスを利用するかで区別するとわかりやすいと思います。
介護保険サービスは大きく分けると、「自宅」でサービスを使うか、「施設」に入所して受けるサービスに分かれます。さらに、自宅から施設に通って受ける「通所」のサービスがあります。この他に、介護サービスを利用するためのケアプランを作成してくれる「居宅介護支援」、サービス利用者が地域で限定されている「地域密着型サービス」があります。

    • 要支援1・2の人が
      利用できるサービス
      • 【自宅で利用するサービス】
      • 介護予防訪問介護(ホームヘルプ)
        介護予防訪問入浴介護
        介護予防訪問看護
        介護予防訪問リハビリテーション
        介護予防居宅療養管理指導

      • 【施設に通って利用するサービス】
      • 介護予防通所介護(デイサービス)
        介護予防認知症対応型通所介護
        介護予防通所リハビリテーション(デイケア)

      • 【短期間施設に入居して利用するサービス】
      • 介護予防短期入所生活介護(ショートステイ)
        介護予防短期入所療養サービス
        (医療型ショートステイ)
        介護予防居宅療養管理指導

      • 【生活環境を整えるサービス】
      • 介護予防福祉用具貸与
        特定介護予防福祉用具購入費の支給
        介護予防住宅改修費の支給

      • 【その他のサービス】
      • 介護予防特定施設入居者生活介護
        (有料老人ホームなど)
        介護予防小規模多機能型居宅介護
        介護予防認知症対応型共同生活介護
        (グループホーム)
        介護予防支援(ケアプランの作成)

    • 要介護1~5の人が
      利用できるサービス
      • 【自宅で利用するサービス】
      • 訪問介護(ホームへルプ)
        夜間対応型訪問介護
        訪問入浴介護
        訪問介護
        訪問リハビリテーション
        定期巡回・随時対応型訪問介護看護
        居宅療養管理指導

      • 【施設に通って利用するサービス】
      • 通所介護(デイサービス)
        認知症対応型通所介護
        通所リハビリテーション(デイケア)

      • 【短期間施設に入居して利用するサービス】
      • 短期入所生活介護(ショートステイ)

      • 【生活環境を整えるサービス】
      • 福祉用具貸与
        特定福祉用具購入費の支給
        住宅改修費の支給

      • 【その他のサービス】
      • 特定施設入居者生活介護
        小規模多機能型居宅介護
        複合型サービス
        認知症対応型共同生活介護
        (グループホーム)
        居宅介護支援(ケアプランの作成)
        地域密着型介護老人福祉施設
        入居者生活介護
        地域密着型特定施設入居者生活介護

      • 【【施設サービス】
      • 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
        介護老人保健施設(老人保健施設)
        介護療養型医療施設(療養病床)

介護保険サービスの種類


表を参照してください。
これは、介護サービスの一覧を示したものです。自宅で利用するサービス、施設に通いで利用するサービス、施設サービスといった区分で確認してください。
介護サービスを受けるための手続きは、介護保険の「利用申請」「審査」「認定」の3つをクリアしなければなりません。審査の中身やサービス利用のことは後で考えることにして、親が入院したら、速やかに介護保険サービス利用の申請を行ってください。

なぜなら、申請してから介護認定を受けるまでに、約30日かかるからです。退院してすぐにサービス利用が必要になることを考えれば、入院したときに手続きをはじめることが先決です。


介護保険サービス利用の申請書を市区町村の窓口に提出すると、市区町村から「認定調査員」が、介護サービスを受ける親のところに「心身の状態」を調べにきます。入院中の場合は、病院にまで訪問してくれます。調査は聞き取りで実施されます。寝返りができるか、起き上がりは可能か、歩行、爪切り、視力などといった身体機能について。また、食事が自分でできるか、トイレに行けるか、歯磨き、洗髪、着替えなど生活の機能に関して。そのほか、認知機能、精神・行動障害、社会生活への適用に関する質問が74項目実施されます。

調査には家族が立ち会うことができます。また、本人の体調が悪いときは、遠慮なく再調査をお願いしてください。認定調査の結果は、コンピュータにかけられ「一時判定」の資料となり、この結果を「主治医意見書」と会わせて、 「二次判定」(介護認定調査会)で検討し、最終の判断となります。
判定は、要介護1竏窒T、要支援1竏窒Q、認定せず(非該当)のどれかに認定され、申請から約30日後に郵送されてきます。認定に納得できない場合は、通知を受け取ってから60日以内に都道府県の「介護認定審査会」に審査請求することもできます。認定後は、介護サービスを受けるためにケアプランの作成が始まります。1週間単位で、どのような介護サービスを組み合わせて利用していくのかをケアマネージャーと相談しながら作成することになります。

介護施設の種類

的施設である介護保険施設は3種類あります。利用者の状態や介助の内容によって種類が分かれています。
①介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は、福祉系の施設で、医療的なケアよりも暮らしに視点をおいた介護サービスが提供されます。最近では看取りサービスも充実した施設が増え、最期までそこで暮らすことができます。
②介護老人保健施設は、リハビリテーションを中心に据えた介護施設です。在宅に復帰することが前提の施設です。
③介護療養型医療施設は、慢性疾患を抱えた高齢者が長期療養するための施設です。病院内の一部病棟が施設として設定されていることもあります。
いずれの施設も、民間事業者が運営する施設に比べて、ランニングコストが低いことで人気が高く、入居待ちの列ができています。



特別養護老人ホームでは、ユニットケアというケアの方法が主流になっています。10室をひとつの単位として共有のリビング・ダイニングが配置されていています。「ユニット型個室」は、10人の家という感じで、担当のスタッフとなじみの関係でケアが提供されています。個人のプライバシーが確保され住環境のレベルも自宅に近いという意味で、居住費は一番高くなっています。
ユニット形式であって、個室が間仕切りなどで区切られた居室は「ユニット型準個室」と呼ばれ、ユニット型よりは安く設定されています。「従来型個室」は、居室は個室ですが食堂や談話室は入居者全員が利用する共用になっています。さらに、「多床室」(一部屋にベッドが3竏窒S床)があります。居室費はもっとも安いものとなっています。

一方、有料老人ホームは民間の事業者が経営する施設です。介護サービスの有無で3種類に分類されています。まず、介護保険も利用できる「特定施設入居者生活介護」の対象になっている「介護付き有料老人ホーム」。食事などのサービスと、必要に応じて外部から介護サービスを利用する「住宅型有料老人ホーム」。健康に不安のない時期に、老後を楽しむために用意された「健康型有料老人ホーム」があります。
一昔前は、1億円、数千万円もする入居一時金を支払い、月の家賃が50万円という施設もありました。しかし、首都圏を中心にこの方式が禁止となり、現在は、前家賃方式として3年分くらいの一時金を支払う施設が増えてきましたが、費用に関しては、依然としてピンキリの状態にあります。現在は、施設数も増え低価格の物件が増えています。1か月の入居にかかる費用の目安としては、介護付の施設で、管理費・食費・光熱費込みで月15万円から20万円位の物件が多くなっています。これに、月々介護保険の自己負担額分が追加されます。地方では、さらに低価格物件が増えています。
施設選びのチェックポイントは後ほど解説します。ひとつだけアドバイスできるとすれば、通販商品を買うわけではないので、パンフレットだけ見て判断するのはやめましょう。必ず現地に行って、施設を見学してください。付け加えるとすれば、あまり時間はかけないことです。あれこれ見学しすぎると、結局、決められない状態になってしまうケースも少なくありません。


有料老人ホームの3種類

さらに、サービス付高齢者住宅という高齢者を専用に受け入れる賃貸方式の住宅が増えています。契約は、一般の賃貸住宅と同じもので、入居者が高齢者に限定されています。建物基準は、バリアフリーで、居室面積などに制限が設けられていますが、契約に関しては賃貸住宅を借りるのとかわりません。部屋が空いていればすぐに入居できます。
最近は、地主の相続対策、土地有効活用物件としてかなりの物件が建設されています。ただ、物件を運営している事業者が介護や医療とは全く関係のない異業種からの参入であるケースが目立っています。大手デベロッパーをはじめ不動産、建設業、なかにはスーパーやリゾート関連事業からも参入が相次いでいます。なかには、介護ビジネスの経験がないために、かなり安易な事業運営を行っている事業者がいることは否定できません。
サ高住に入居するときは、介護が必要になったときに介護サービスが利用できるのか確認しましょう。医療に関しても同じです。緊急時に対応してくれる病院の存在を確認してください。
サ高住のパンフレットには、この二つの項目に関して必ず説明書きがされています。「介護サービスは○○事業所、協力医療機関○○診療所」と表示され、それぞれ電話番号等も記載されています。これで安心しないで、必ず実際に直接問い合わせをすることで確認しておきましょう。
問い合わせをする際、病院であれば「夜間の対応はできるのか」、「どのくらいの時間で駆けつけてくれるのか」など、具体的な状況を想定して質問しましょう。できれば、事業者を訪問して、間違いなくサービス提供を受けられるのかを確認することです。すべてがそうであるとは言えませんが、表示だけして全く協力関係のない事業者を表示しているケースもあります。

介護を支える医療の存在

在宅介護の行き着く先、つまり、人が最期のときを迎える場所がどこかは大きなテーマです。現在、施設介護よりも在宅、地域で最期まで暮らせる環境づくりに注目が集まっています。そこで、注目されるのが「在宅医療」の存在です。在宅医療とは、命の量を求めるのではなく、命の質を求める医療です。長寿を目指すのではなく、天寿をかなえる医療です。
この在宅医療を自宅に持ち込むことができれば、在宅介護を全うする可能性は大きく膨らんできます。在宅医のいる家庭では、介護を受けている高齢者が肺炎になっても、あわてて病院に入院させる必要がありません。在宅医の訪問診療と看護師の訪問看護を上手に利用することで、自宅でも治療が受けられるからです。


高齢者の場合、1週間ほどでも病院で入院生活を送ると、環境の変化が原因で認知症の初期症状を発症するケースも少なくありません。介護にあわせて医療の上手な使い手になることによって、高齢者の在宅での介護環境は飛躍的に改善されることは間違いありません。
しかも、病院に入院するのと、在宅医療を利用する場合では、かかる費用の面から見ても違いが生じます。  肺炎で2週間、一般的な病院に入院すると、入院基本料だけで、自己負担額が69,762円(3割負担)かかります。これに、差額ベッド代金や食事、おむつ費用などの経費を加算すると10万円近い費用は覚悟しなければなりません。
これに対して、在宅医療を利用した場合、在宅時医学綜合管理料に往診費用、訪問看護利用費を含めても自己負担額は、月額19,700円(医療保険の対象なので3割負担)程度に抑えることができます。これに、介護保険サービス利用によって生じる自己負担額(サービス利用料の1割)がかかってきますが、住み慣れた自宅、地域での暮らしを継続できることを考えれば、そのメリットは大きいでしょう。

在宅医療に関わる医師の多くは、「自宅での療養生活は、病院のベッドの上で最期のときを迎えるのをじっと待っているような状態では取り戻すことのできない当たり前の生活を継続できます。在宅医療とは暮らしに寄り添う医療なのです」と語っています。
介護の基本情報と会わせて、在宅医療の情報を積極的に集めてください。東京都二十三区、大阪市、京都市、名古屋市、仙台市などの大都市では、在宅医が確実に見つかります。
逆に、都市近郊や地方都市では、在宅医を見つけることが困難なことが多い傾向があります。現在、全国各地で「在宅医療を主に行う診療所」も次第に増えています。このサイトの検索サービスを使って諦めずに探してみましょう。

他にも、具体的な方法としては、病院の医療連携室・相談室(医療ソーシャルワーカー)に相談する方法があります。
脳梗塞やがんなどの重い病気で病院に入院し、その後、継続的な自宅療養を希望し、在宅医を探すケースが多いことから、相談窓口を活用して在宅医を探してください。入院中に相談しておくことをお勧めします。相談室には、通常、「医療ソーシャルワーカー」という専門職が、患者さん、ご家族の相談に応じています。「医療ソーシャルワーカー」は、医療の連携や、医療制度活用の専門家です。 在宅医療を行う医師を、みつけたり、紹介したりすることも、「医療ソーシャルワーカー」の大切な仕事です。
この他には、ケアマネージャーや地域の医師会に相談する方法があります。市町村で配布している「医療・福祉機関リスト」にも在宅医の紹介データが載っているケースもあります。


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